針生検による穿刺経路播種をきたした胸腺腫の1例

症例は78歳男性.2004年8月前立腺癌経過観察中のCTで前縦隔腫瘍を指摘された.胸部X線で右肺門部に突出する腫瘤影,CTで前縦隔に60×28 mmの石灰化を伴う腫瘤を認め,超音波ガイド下針生検を施行した.胸腺腫との診断が得られ,胸腺摘出術を施行した.術後病理は胸腺腫WHO type ABで正岡II期であった.2008年7月から右前胸部に3 cmの硬い無痛性腫瘤が出現した.CTでは前胸壁に45×15 mmの腫瘤であった.胸腺腫の胸壁再発を疑い腫瘍摘出術を施行し,術中迅速で胸腺腫再発と診断した.術後断端陽性であったため放射線治療60 Gyを追加した.現在明らかな再発を認めていない.針生検による穿...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 589 - 593
Main Authors 塩野, 知志, 安孫子, 正美, 佐藤, 徹, 岡崎, 敏昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2013
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.589

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Summary:症例は78歳男性.2004年8月前立腺癌経過観察中のCTで前縦隔腫瘍を指摘された.胸部X線で右肺門部に突出する腫瘤影,CTで前縦隔に60×28 mmの石灰化を伴う腫瘤を認め,超音波ガイド下針生検を施行した.胸腺腫との診断が得られ,胸腺摘出術を施行した.術後病理は胸腺腫WHO type ABで正岡II期であった.2008年7月から右前胸部に3 cmの硬い無痛性腫瘤が出現した.CTでは前胸壁に45×15 mmの腫瘤であった.胸腺腫の胸壁再発を疑い腫瘍摘出術を施行し,術中迅速で胸腺腫再発と診断した.術後断端陽性であったため放射線治療60 Gyを追加した.現在明らかな再発を認めていない.針生検による穿刺経路播種をきたした胸腺腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.589