木材の水分およびガス吸着性能に及ぼす乾湿繰り返し処理の影響

スギ(Cryptomeria japonica D. Don)から作製した木口板,柾目板の試験片に対し,室温(20℃)と高温(105℃)の2つの条件下で絶乾状態と飽水状態とを3回,および6回繰り返す乾湿繰り返し処理を行った。これらの試験片を用いて,7種類の飽和塩を用いた水分吸着試験と窒素ガスを用いたガス吸着試験を行った。水分吸着試験の結果,平衡含水率は熱の影響や試験片に関係なく,乾湿繰り返し処理の処理回数の増加とともに減少した。また,窒素ガス吸着試験の結果,乾湿繰り返し処理の処理回数の増加とともにガス吸着量は増加し,とくに柾目板の試験片で顕著であった。以上の結果から,細胞壁に対し乾湿繰り返し処...

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Published in木材学会誌 Vol. 59; no. 6; pp. 334 - 338
Main Authors 鳥羽, 景介, 中井, 毅尚, 山本, 浩之, 吉田, 正人, 西尾, 信洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本木材学会 2013
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Summary:スギ(Cryptomeria japonica D. Don)から作製した木口板,柾目板の試験片に対し,室温(20℃)と高温(105℃)の2つの条件下で絶乾状態と飽水状態とを3回,および6回繰り返す乾湿繰り返し処理を行った。これらの試験片を用いて,7種類の飽和塩を用いた水分吸着試験と窒素ガスを用いたガス吸着試験を行った。水分吸着試験の結果,平衡含水率は熱の影響や試験片に関係なく,乾湿繰り返し処理の処理回数の増加とともに減少した。また,窒素ガス吸着試験の結果,乾湿繰り返し処理の処理回数の増加とともにガス吸着量は増加し,とくに柾目板の試験片で顕著であった。以上の結果から,細胞壁に対し乾湿繰り返し処理を行ったことで,ミクロレベルでは非結晶性セルロースなどの親水性の領域の減少が,サブミクロンレベルでは細胞壁中に亀裂や細孔が生じたと考えられた。
ISSN:0021-4795
1880-7577
DOI:10.2488/jwrs.59.334