鏡視下手術を施行した胸腔内伏針の1例
症例は87歳,女性.右側胸部痛を主訴に救急外来を受診した.来院時身体所見では,右側胸部に約7mm大の発赤を認めた.単純X線検査では右側胸部に線状陰影を認めた.胸腹部CT検査では,皮下を貫通し肝に達する線状高吸収域ならびに皮下気腫,右気胸を認めた.前夜に裁縫した寝巻きを着て就寝したことから,裁縫に使用した針の迷入が考えられた.透視下に金属針の除去を試みたが,呼吸性移動により胸腔内に迷入してしまったため,翌日鏡視下手術を施行した.腹腔側に向かって右横隔膜を貫通していた金属針を胸腔鏡下に除去した.腹腔側より肝表面を観察したところ,前区域の一部に小損傷を認めたが,出血や胆汁の流出などは認めなかった.術...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2274 - 2278 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.2274 |
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Summary: | 症例は87歳,女性.右側胸部痛を主訴に救急外来を受診した.来院時身体所見では,右側胸部に約7mm大の発赤を認めた.単純X線検査では右側胸部に線状陰影を認めた.胸腹部CT検査では,皮下を貫通し肝に達する線状高吸収域ならびに皮下気腫,右気胸を認めた.前夜に裁縫した寝巻きを着て就寝したことから,裁縫に使用した針の迷入が考えられた.透視下に金属針の除去を試みたが,呼吸性移動により胸腔内に迷入してしまったため,翌日鏡視下手術を施行した.腹腔側に向かって右横隔膜を貫通していた金属針を胸腔鏡下に除去した.腹腔側より肝表面を観察したところ,前区域の一部に小損傷を認めたが,出血や胆汁の流出などは認めなかった.術後経過は良好で,術後第7病日に退院となった.胸・腹腔内伏針に対する鏡視下摘出術は,低侵襲であり有用な選択肢の1つであると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.2274 |