食道扁平上皮癌と胃腺癌の衝突癌の1例

症例は81歳,男性.2006年5月に胸やけを主訴に近医を受診.上部消化管内視鏡検査で下部食道に2型の腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌と診断され当院へ紹介受診した.当院で精査したところ,胸部下部食道より噴門部におよぶ腹部食道癌と診断された.2006年6月26日,右開胸開腹により下部食道切除,胃管再建を行った.切除標本の肉眼所見では2型の癌は全て扁平上皮癌と思われたが,病理組織学検査では扁平上皮癌だけでなく腺癌もみとめられた.扁平上皮癌は食道重層扁平上皮との連続性を有し,腺癌は噴門部胃粘膜との連続性が認められた.さらに両者には組織学的に明らかな境界があり移行像を認めないことより,食道胃接合部における食...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 8; pp. 2319 - 2323
Main Authors 田口, 泰郎, 津金, 恭司, 河野, 弘, 木村, 充志, 竹之内, 靖, 佐竹, 立成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は81歳,男性.2006年5月に胸やけを主訴に近医を受診.上部消化管内視鏡検査で下部食道に2型の腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌と診断され当院へ紹介受診した.当院で精査したところ,胸部下部食道より噴門部におよぶ腹部食道癌と診断された.2006年6月26日,右開胸開腹により下部食道切除,胃管再建を行った.切除標本の肉眼所見では2型の癌は全て扁平上皮癌と思われたが,病理組織学検査では扁平上皮癌だけでなく腺癌もみとめられた.扁平上皮癌は食道重層扁平上皮との連続性を有し,腺癌は噴門部胃粘膜との連続性が認められた.さらに両者には組織学的に明らかな境界があり移行像を認めないことより,食道胃接合部における食道扁平上皮癌と胃腺癌の衝突癌と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2319