胆管細胞癌との鑑別が困難であった肝硬化性血管腫の1例

症例は65歳,女性.検診で指摘された胸部異常陰影精査中に,肝S5に腫瘤を指摘され当院紹介初診となった.腹部超音波検査では,肝S5に低エコー領域と軽度高エコー領域が混在する辺縁不明瞭な20mm大の腫瘍を認めた.腹部造影CTでは,同部に辺縁やや不整で,単純CTで低吸収域となり,平衡相で周囲に軽度造影効果を認める腫瘤を認めた.腹部MRIでは,T1強調像で肝S5辺縁から内側に及ぶ楔状低信号域,T2強調像で等信号から淡い高信号で全体的に不明瞭となる腫瘍を認め,間質成分が豊富な腫瘍が疑われた.上部・下部消化管精査では異常を認めなかった.以上より,胆管細胞癌の可能性を第1に疑い,2006年1月,肝前区域切除...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1181 - 1185
Main Authors 原田, 信比古, 小池, 伸定, 羽生, 富士夫, 梶, 理史, 鈴木, 修司, 鈴木, 衛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1181

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Summary:症例は65歳,女性.検診で指摘された胸部異常陰影精査中に,肝S5に腫瘤を指摘され当院紹介初診となった.腹部超音波検査では,肝S5に低エコー領域と軽度高エコー領域が混在する辺縁不明瞭な20mm大の腫瘍を認めた.腹部造影CTでは,同部に辺縁やや不整で,単純CTで低吸収域となり,平衡相で周囲に軽度造影効果を認める腫瘤を認めた.腹部MRIでは,T1強調像で肝S5辺縁から内側に及ぶ楔状低信号域,T2強調像で等信号から淡い高信号で全体的に不明瞭となる腫瘍を認め,間質成分が豊富な腫瘍が疑われた.上部・下部消化管精査では異常を認めなかった.以上より,胆管細胞癌の可能性を第1に疑い,2006年1月,肝前区域切除術を施行した.病理組織学的検査所見では小型血管の増生と,硝子様,線維性の間質を認め,肝硬化性血管腫と診断された.肝硬化性血管腫は,本邦報告例は自験例を含め11例のみで,稀な疾患である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1181