腹腔鏡下胆嚢摘出術後にポート部位再発・腹膜播種により診断された微小潜在胆嚢癌の1例

患者は67歳, 男性. 検診で胆石を指摘され, 胆石胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術 (laparoscopic cholecystectomy : 以下, LC) を行った. LCから2年4カ月後, 右季肋下のポート部瘢痕に有痛性の腫瘤を認めたため再手術を行った. 病理学的検索の結果, ポート部再発および腹膜播種と診断された. 手術前後の検索では原発巣は特定できず, 摘出した胆嚢を再検索し腺管構造を有する大きさ2mmの微小高分化腺癌 (深達度m) が認められ, 潜在胆嚢癌のポート部再発および腹膜播種と考えられた. ポート部位再発はほとんどの場合, 潜在胆嚢癌に対してLCを行った場合に発症して...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 9; pp. 2319 - 2323
Main Authors 横溝, 博, 平田, 稔彦, 山根, 隆明, 杉山, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2319

Cover

More Information
Summary:患者は67歳, 男性. 検診で胆石を指摘され, 胆石胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術 (laparoscopic cholecystectomy : 以下, LC) を行った. LCから2年4カ月後, 右季肋下のポート部瘢痕に有痛性の腫瘤を認めたため再手術を行った. 病理学的検索の結果, ポート部再発および腹膜播種と診断された. 手術前後の検索では原発巣は特定できず, 摘出した胆嚢を再検索し腺管構造を有する大きさ2mmの微小高分化腺癌 (深達度m) が認められ, 潜在胆嚢癌のポート部再発および腹膜播種と考えられた. ポート部位再発はほとんどの場合, 潜在胆嚢癌に対してLCを行った場合に発症している. 自験例の如く, たとえ微小癌であっても再発する場合があるので, 潜在胆嚢癌の存在を念頭においた慎重な対応が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2319