大量血胸を契機に発見された孤立性線維性腫瘍の1例

大量血胸を契機に発見される孤立性線維性腫瘍の報告例は少ない.症例は35歳,男性.突然の左胸痛を主訴に近医を受診した.左胸水貯留を指摘され,当院に紹介となった.胸部CTで大量の左胸水と左胸腔内背側,横隔膜上に7.4×4.5×6.2 cm大の腫瘤を認めた.胸腔穿刺にて血性胸水と判明した.超音波検査にて腫瘤は血流が豊富であり,生検による診断は困難であった.貧血が進行したことから,腫瘍からの持続的な出血が疑われ,診断・治療(止血)目的に手術を施行した.腫瘍は胸壁と横隔膜への浸潤が疑われたため合併切除を行った.切除標本で腫瘍の一部が隆起し被膜欠損部を認めたことから腫瘍増大に伴う腫瘍自体の破綻が血胸の原因...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 2; pp. 133 - 139
Main Authors 大﨑, 敏弘, 小林, 健一, 小舘, 満太郎, 安田, 学, 宗, 知子, 福市, 有希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.133

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Summary:大量血胸を契機に発見される孤立性線維性腫瘍の報告例は少ない.症例は35歳,男性.突然の左胸痛を主訴に近医を受診した.左胸水貯留を指摘され,当院に紹介となった.胸部CTで大量の左胸水と左胸腔内背側,横隔膜上に7.4×4.5×6.2 cm大の腫瘤を認めた.胸腔穿刺にて血性胸水と判明した.超音波検査にて腫瘤は血流が豊富であり,生検による診断は困難であった.貧血が進行したことから,腫瘍からの持続的な出血が疑われ,診断・治療(止血)目的に手術を施行した.腫瘍は胸壁と横隔膜への浸潤が疑われたため合併切除を行った.切除標本で腫瘍の一部が隆起し被膜欠損部を認めたことから腫瘍増大に伴う腫瘍自体の破綻が血胸の原因と考えた.最終病理診断では,紡錘形細胞が錯綜に増生し,免疫組織化学上CD34(+),Vimentin(+),EMA(-),S-100(-)であり,遺伝子解析にてNAB2 exon6-STAT6 exon16/17融合遺伝子が検出され,孤立性線維性腫瘍と診断された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.133