門脈ガスを認めた狭窄型虚血性大腸炎に腹腔鏡補助下結腸切除を行った1例

症例は76歳, 女性. 右側腹部痛と血便を主訴に救急搬送された. 血液検査上は白血球の上昇のみであったが, 腹部CT検査上肝左葉外側区域に門脈ガスを認め, 回腸末端から横行結腸にかけて全周性壁肥厚と周囲脂肪組織濃度の上昇をみた. 全身状態は安定しており腹部所見の増悪がないため保存的加療を選択した. 下痢はあるものの血便は止まり, 入院2日後の腹部CT検査で門脈ガスの著明な減少を認めた. 圧痛が右下腹部に限局したため, 入院後3週間目に下部消化管内視鏡検査を行ったところ上行結腸中央に狭窄部を認め, その口側の観察は不可能なため造影し, 盲腸, 回腸末端の著明な狭窄をみたので腹腔鏡補助下結腸切除術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 8; pp. 2004 - 2008
Main Authors 古元, 克好, 水野, 礼, 森, 友彦, 元廣, 高之, 小切, 匡史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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Summary:症例は76歳, 女性. 右側腹部痛と血便を主訴に救急搬送された. 血液検査上は白血球の上昇のみであったが, 腹部CT検査上肝左葉外側区域に門脈ガスを認め, 回腸末端から横行結腸にかけて全周性壁肥厚と周囲脂肪組織濃度の上昇をみた. 全身状態は安定しており腹部所見の増悪がないため保存的加療を選択した. 下痢はあるものの血便は止まり, 入院2日後の腹部CT検査で門脈ガスの著明な減少を認めた. 圧痛が右下腹部に限局したため, 入院後3週間目に下部消化管内視鏡検査を行ったところ上行結腸中央に狭窄部を認め, その口側の観察は不可能なため造影し, 盲腸, 回腸末端の著明な狭窄をみたので腹腔鏡補助下結腸切除術を行った. 術後経過は良好で術後9日目に退院した. 病理組織診断は, 潰瘍型虚血性腸炎による腸管狭窄であった. 門脈ガス血症を伴う虚血性腸炎に対する手術適応について検討した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2004