肝転移切除の既往のある大腸癌肺転移切除症例についての検討

大腸癌肝転移の治療方針としては切除可能であれば外科的切除が推奨されている.しかし肝転移切除後にさらに肺転移も発生した際の肺切除に対する手術適応指針として明確なものはない.当施設で行った肝転移切除の既往のある大腸癌肺転移切除30例について臨床病理学的因子および予後を解析し,肺転移巣切除の有用性を検討した.原発巣および肺転移巣切除後の5年生存率はそれぞれ67.5%と41.6%であった.臨床病理因子別による生存率の比較では,多発肺転移例が単発例よりも予後が悪い傾向にあった.肺転移巣切除後24例に肝や肺などに再転移が認められたが,さらに再転移巣切除が行われた群は非切除群に比べ有意に予後良好であった.大...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 694 - 700
Main Authors 佐々木, 和人, 雨宮, 隆太, 北原, 美由紀, 阿部, 秀樹, 朝戸, 裕二, 吉見, 富洋, 清嶋, 護之, 中尾, 啓太, 永井, 秀雄, 鈴木, 久史, 川崎, 普司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.694

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Summary:大腸癌肝転移の治療方針としては切除可能であれば外科的切除が推奨されている.しかし肝転移切除後にさらに肺転移も発生した際の肺切除に対する手術適応指針として明確なものはない.当施設で行った肝転移切除の既往のある大腸癌肺転移切除30例について臨床病理学的因子および予後を解析し,肺転移巣切除の有用性を検討した.原発巣および肺転移巣切除後の5年生存率はそれぞれ67.5%と41.6%であった.臨床病理因子別による生存率の比較では,多発肺転移例が単発例よりも予後が悪い傾向にあった.肺転移巣切除後24例に肝や肺などに再転移が認められたが,さらに再転移巣切除が行われた群は非切除群に比べ有意に予後良好であった.大腸癌肺転移症例においては,肝転移切除の既往があっても肺転移切除は十分考慮されるべき治療法と考えられた.ただし予後不良傾向である多発肺転移例や高い再転移出現率への対応が今後の課題であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.694