胸腔鏡下肺部分切除術後における胸腔ドレーン非留置症例についての検討

肺切除術後は胸腔ドレーンを留置するのが一般的であるが,留置に伴う疼痛やコスト増加が見込まれる.肺部分切除術などの低侵襲術においては,経験上術後肺瘻を認める症例は少なく,胸腔ドレーンを要しない症例もあると思われる.胸腔鏡下肺部分切除術後のドレーン非留置について安全性と有効性を検討した.胸腔鏡下肺部分切除術を施行し,閉創前に気漏を認めなかった56例のうち,ドレーンを留置しなかった43例と留置した13例を後方視的に比較した.留置群は非留置群と比較して一秒率がより低値であった.非留置群では術後の皮下気腫が多くみられたが,いずれも軽度であった.胸腔穿刺やドレーン挿入を要した症例は両群とも認めなかった.術...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 532 - 536
Main Authors 大角, 潔, 後藤, 正司, 福井, 崇将, 中川, 達雄, 宮本, 英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.532

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Summary:肺切除術後は胸腔ドレーンを留置するのが一般的であるが,留置に伴う疼痛やコスト増加が見込まれる.肺部分切除術などの低侵襲術においては,経験上術後肺瘻を認める症例は少なく,胸腔ドレーンを要しない症例もあると思われる.胸腔鏡下肺部分切除術後のドレーン非留置について安全性と有効性を検討した.胸腔鏡下肺部分切除術を施行し,閉創前に気漏を認めなかった56例のうち,ドレーンを留置しなかった43例と留置した13例を後方視的に比較した.留置群は非留置群と比較して一秒率がより低値であった.非留置群では術後の皮下気腫が多くみられたが,いずれも軽度であった.胸腔穿刺やドレーン挿入を要した症例は両群とも認めなかった.術後在院日数中央値は非留置群で短かい傾向にあったが有意差は認めなかった.胸腔鏡下肺部分切除術において,術後胸腔ドレーンの留置が割愛できる可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.532