アイエーコール®を用いた肝動脈化学療法と肝動脈化学塞栓療法が著効した多発肝細胞癌の1例

アイエーコール®を用いた肝動脈化学療法(TAI)と肝動脈化学塞栓療法(TACE)が著効した多発肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳女性.慢性C型肝炎で経過観察中にS7単発肝細胞癌を指摘され,S7亜区域切除術が施行された.術後7カ月目に約20個の両葉多発再発を認めた.マイトマイシンCを用いたTACEを約2年6カ月で6回施行し,一時腫瘍は1個まで減少したが,その後TACEでコントロール不良となり,多発再発を来した.そこでアイエーコール®単剤によるTAIを行った.約2年6カ月で10回施行し,腫瘍の消失を確認した.最終投与6カ月後にS2の単発再発を認めたが,アイエーコール®によるTACE...

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 3; pp. 119 - 126
Main Authors 福永, 潔, 大河内, 信弘, 小田, 竜也, 小林, 昭彦, 高橋, 一広, 村田, 聡一郎, 佐々木, 亮孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.119

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Summary:アイエーコール®を用いた肝動脈化学療法(TAI)と肝動脈化学塞栓療法(TACE)が著効した多発肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳女性.慢性C型肝炎で経過観察中にS7単発肝細胞癌を指摘され,S7亜区域切除術が施行された.術後7カ月目に約20個の両葉多発再発を認めた.マイトマイシンCを用いたTACEを約2年6カ月で6回施行し,一時腫瘍は1個まで減少したが,その後TACEでコントロール不良となり,多発再発を来した.そこでアイエーコール®単剤によるTAIを行った.約2年6カ月で10回施行し,腫瘍の消失を確認した.最終投与6カ月後にS2の単発再発を認めたが,アイエーコール®によるTACEで治療可能であった.その後半年間再発は認めず,腫瘍マーカーも正常であり,著効と判定した.手術からの全経過は約7年であった.本例のようにアイエーコール®が劇的に奏効する例が知られており,その感受性を決定する腫瘍学的特性の解明が待たれる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.119