食道閉鎖症,大動脈縮窄症に高度の先天性気管狭窄症を合併し,呼吸管理に難渋した1症例

食道閉鎖症,大動脈縮窄症に高度な先天性気管狭窄症を合併した新生児の1症例を経験した。狭窄範囲が分岐部に達し,かつ最狭部外径が2.0 mmと最重症型の気管狭窄症であった。気管食道瘻盲端間が長く,盲端側への気管チューブ迷入による換気不全を頻回に生じ,呼吸管理に難渋した。また,長期挿管管理による肉芽形成,誤嚥などによる無気肺を繰り返すことも呼吸管理をさらに難しいものとした。気管支ファイバースコープを積極的に用いることで,換気不全の原因,チューブ位置調整,肉芽の状況などの早期の診断・対処が可能であった。致死的な合併症はなく,最狭気管外径を3.5 mmまで成長させることができ,気管形成術に到達したが,現...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 15; no. 4; pp. 539 - 542
Main Authors 谷口, 彩乃, 梅内, 貴子, 志馬, 伸朗, 加藤, 祐子, 橋本, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 2008
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Summary:食道閉鎖症,大動脈縮窄症に高度な先天性気管狭窄症を合併した新生児の1症例を経験した。狭窄範囲が分岐部に達し,かつ最狭部外径が2.0 mmと最重症型の気管狭窄症であった。気管食道瘻盲端間が長く,盲端側への気管チューブ迷入による換気不全を頻回に生じ,呼吸管理に難渋した。また,長期挿管管理による肉芽形成,誤嚥などによる無気肺を繰り返すことも呼吸管理をさらに難しいものとした。気管支ファイバースコープを積極的に用いることで,換気不全の原因,チューブ位置調整,肉芽の状況などの早期の診断・対処が可能であった。致死的な合併症はなく,最狭気管外径を3.5 mmまで成長させることができ,気管形成術に到達したが,現在も人工呼吸器離脱は困難であり,今後も慎重な呼吸管理が必要な状況である。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.15.539