酢酸オクトレオチド投与が奏効しQOLが著しく改善した終末期癌患者の1例

癌終末期における消化管閉塞は,消化器癌ならびに婦人科領域の癌患者に発生しやすく,約3%の頻度に達するという報告がある.消化管閉塞に伴う悪心・嘔吐等の症状は,患者に苦痛を与えるだけでなく,QOLを著しく低下させる要因となる.これに対し酢酸オクトレオチドは消化管外分泌の抑制作用,ならびに水および電解質の吸収促進作用を有し,癌終末期患者の消化管閉塞症状に対する有効性が確立されている.しかし約40~50%の症例に無効であったという報告もあることから,酢酸オクトレオチドの適切な投与開始時期の決定が終末期癌患者のQOL向上につながるものと考えられる.われわれは消化管閉塞症状を伴う進行胆嚢癌患者において,酢...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1015 - 1018
Main Authors 西, 八嗣, 平井, 俊男, 渡邊, 昌彦, 土橋, 誠一郎, 内藤, 正規, 八十川, 要平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1015

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Summary:癌終末期における消化管閉塞は,消化器癌ならびに婦人科領域の癌患者に発生しやすく,約3%の頻度に達するという報告がある.消化管閉塞に伴う悪心・嘔吐等の症状は,患者に苦痛を与えるだけでなく,QOLを著しく低下させる要因となる.これに対し酢酸オクトレオチドは消化管外分泌の抑制作用,ならびに水および電解質の吸収促進作用を有し,癌終末期患者の消化管閉塞症状に対する有効性が確立されている.しかし約40~50%の症例に無効であったという報告もあることから,酢酸オクトレオチドの適切な投与開始時期の決定が終末期癌患者のQOL向上につながるものと考えられる.われわれは消化管閉塞症状を伴う進行胆嚢癌患者において,酢酸オクトレオチドの適切な投与により,在宅日数を大幅に延長できた症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1015