二期的再建術を行った膵十二指腸合併損傷の1例

膵頭部と十二指腸の合併損傷に対して,二期的再建術を施行し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性で,4mの高さから墜落して上腹部を打撲した.緊急開腹したところ,膵頭部と十二指腸球部が完全に断裂していた.十二指腸断端の遠位側は閉鎖して,幽門側胃切除を行いBillroth-II法で再建した.膵断裂に対しては,膵管チューブと腹腔内ドレーンによる膵液ドレナージのみ施行した.遅発性の総胆管閉塞に対して,術後に経皮的胆道ドレナージが必要となった.受傷後3カ月目に,Child変法による二期的再建術を行い,術後経過は良好であった.主膵管損傷を伴う膵頭部損傷では,遠位側の膵を温存する術式...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 5; pp. 1242 - 1245
Main Authors 坂東, 敬介, 奥田, 耕司, 岡田, 昌生, 三澤, 一仁, 大島, 隆宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.1242

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Summary:膵頭部と十二指腸の合併損傷に対して,二期的再建術を施行し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性で,4mの高さから墜落して上腹部を打撲した.緊急開腹したところ,膵頭部と十二指腸球部が完全に断裂していた.十二指腸断端の遠位側は閉鎖して,幽門側胃切除を行いBillroth-II法で再建した.膵断裂に対しては,膵管チューブと腹腔内ドレーンによる膵液ドレナージのみ施行した.遅発性の総胆管閉塞に対して,術後に経皮的胆道ドレナージが必要となった.受傷後3カ月目に,Child変法による二期的再建術を行い,術後経過は良好であった.主膵管損傷を伴う膵頭部損傷では,遠位側の膵を温存する術式が望ましいが,一期的な再建はリスクが高い.初回手術は必要最小限の処置に止め,晩期に二期的再建術を施行するという治療戦略も有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.1242