悪性胸膜中皮腫治療後早期に著明な血小板減少を来たした1例

悪性胸膜中皮腫治療後に血小板減少を呈した症例を報告する.68歳男性.右悪性胸膜中皮腫にて右胸膜肺全摘・シスプラチン・ペメトレキセド併用化学療法後,強度変調放射線治療中に放射線肺臓炎を来したため照射中止し,ステロイドを開始した.1ヵ月後血小板2×103/μLに著減し頻回に血小板輸血を行った.サイトメガロウイルス(CMV)抗原血症の診断でガンシクロビル治療後も血小板は増加しなかった.骨髄検査で細胞密度はやや低形成であったが巨核球数は保たれており,免疫性血小板減少性紫斑病に準じ治療を行なった.免疫グロブリン治療後も数万/μLに留まり,トロンボポエチン受容体作動薬も効果不良であった.ステロイド投与中に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 777 - 782
Main Authors 青山, 晃博, 池田, 政樹, 伊達, 洋至, 松尾, 幸憲, 園部, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.777

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Summary:悪性胸膜中皮腫治療後に血小板減少を呈した症例を報告する.68歳男性.右悪性胸膜中皮腫にて右胸膜肺全摘・シスプラチン・ペメトレキセド併用化学療法後,強度変調放射線治療中に放射線肺臓炎を来したため照射中止し,ステロイドを開始した.1ヵ月後血小板2×103/μLに著減し頻回に血小板輸血を行った.サイトメガロウイルス(CMV)抗原血症の診断でガンシクロビル治療後も血小板は増加しなかった.骨髄検査で細胞密度はやや低形成であったが巨核球数は保たれており,免疫性血小板減少性紫斑病に準じ治療を行なった.免疫グロブリン治療後も数万/μLに留まり,トロンボポエチン受容体作動薬も効果不良であった.ステロイド投与中に発症し,薬物治療への反応が不良かつ一時的という点から,化学療法による骨髄機能低下に,放射線・薬剤・CMV感染など複合的要素が関与し血小板減少が発症・遷延したと考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.777