自己組織にて再建を行った先天性孤立性右肺動脈欠損の1例

心内奇形を伴わない一側肺動脈欠損は孤立性片側肺動脈欠損と呼ばれ,稀な疾患とされている.今回自己組織のみで再建を行い,良好な結果を得た同疾患の早期乳児例を経験したので報告する.症例は生後1カ月,3.1kgの男児.出生時からの頻呼吸,心雑音ならびに精査目的にて行った画像所見にて先天性孤立性右肺動脈欠損+動脈管開存と診断された.循環器科にて内科的治療を開始するも,肺高血圧所見の増悪が認められたため手術適応となった.手術は胸部正中切開アプローチにて体外循環・心拍動下に右肺動脈再建と動脈管結紮を行った.右肺動脈は腕頭動脈中枢側より起始しており,これを離断し自己心膜にて作製したロールを用いて主肺動脈に吻合...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 156 - 159
Main Authors 山城, 理仁, 森田, 紀代造, 橋本, 和弘, 宇野, 吉雅, 篠原, 玄, 香川, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2009
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.38.156

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Summary:心内奇形を伴わない一側肺動脈欠損は孤立性片側肺動脈欠損と呼ばれ,稀な疾患とされている.今回自己組織のみで再建を行い,良好な結果を得た同疾患の早期乳児例を経験したので報告する.症例は生後1カ月,3.1kgの男児.出生時からの頻呼吸,心雑音ならびに精査目的にて行った画像所見にて先天性孤立性右肺動脈欠損+動脈管開存と診断された.循環器科にて内科的治療を開始するも,肺高血圧所見の増悪が認められたため手術適応となった.手術は胸部正中切開アプローチにて体外循環・心拍動下に右肺動脈再建と動脈管結紮を行った.右肺動脈は腕頭動脈中枢側より起始しており,これを離断し自己心膜にて作製したロールを用いて主肺動脈に吻合した.術後経過は良好で,心エコー検査上肺高血圧所見の残存なく3週間で退院した.以後も臨床上問題なく,術後3カ月で行った心カテーテル検査においても,圧・形態ともに良好な所見が確認された.なお術前に行ったMulti-detector CT検査が確定診断および術式選択に際し有用であった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.38.156