持続腹膜透析導入後に発症した横隔膜交通症の検討

持続腹膜透析(以下CAPD)患者の約1.6%に発症する合併症に横隔膜交通症がある.当科において2010年から2018年の間,CAPD導入後に発症した横隔膜交通症に対して胸腔鏡下手術を施行した7例について検討した.男性3例,女性4例,平均年齢は56.3歳であった.横隔膜の交通部位を同定するため,インジゴカルミンで染色した透析液を術中に腹腔内へ注入した.術中に瘻孔を確認した症例は4例,染まった囊胞を確認した症例が2例,変化がなかった症例が1例であった.CAPDは術後平均5.7±2.2日に再開し,横隔膜の変化がなかった1例で再発した.術後平均在院日数は15.8±8.0日,観察期間中に心不全と腹膜炎を...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 661 - 666
Main Authors 坂本, 晋一, 監崎, 孝一郎, 久保, 尊子, 法村, 尚子, 三浦, 一真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2019
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Summary:持続腹膜透析(以下CAPD)患者の約1.6%に発症する合併症に横隔膜交通症がある.当科において2010年から2018年の間,CAPD導入後に発症した横隔膜交通症に対して胸腔鏡下手術を施行した7例について検討した.男性3例,女性4例,平均年齢は56.3歳であった.横隔膜の交通部位を同定するため,インジゴカルミンで染色した透析液を術中に腹腔内へ注入した.術中に瘻孔を確認した症例は4例,染まった囊胞を確認した症例が2例,変化がなかった症例が1例であった.CAPDは術後平均5.7±2.2日に再開し,横隔膜の変化がなかった1例で再発した.術後平均在院日数は15.8±8.0日,観察期間中に心不全と腹膜炎を来した2例は血液透析へ移行となったが,残りの症例はCAPDを継続している.横隔膜交通症に対する胸腔鏡下手術は横隔膜の変化を確認できた症例で高い成功率を得られ,末期腎不全患者にも低侵襲に施行できる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.661