術前診断し腹腔鏡下手術を施行した大網捻転症の1例
今回われわれは腹部造影CT検査にて術前診断し,腹腔鏡下に切除しえた大網捻転症の1例を経験したので報告する.症例は45歳女性で,5日前からの右下腹部痛を主訴に当院を受診した.来院時,右下腹部に手拳大の硬い腫瘤を触知し,同部位に著明な圧痛を認めた.腹部造影CT検査にて大網捻転症と診断し,同日,緊急腹腔鏡下手術を施行した.手術所見では,血性腹水を中等量認め,右下腹部の大網が反時計方向に4回転捻転し,末梢側の大網は壊死に陥っていた.大網壊死部分を切除した.術後経過は良好で,術後6日目に退院した.大網捻転症は比較的まれな疾患であり,術前診断は一般に困難であるとされている.本症例では,腹部造影CT検査にて...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 9; pp. 2415 - 2419 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.2415 |
Cover
Summary: | 今回われわれは腹部造影CT検査にて術前診断し,腹腔鏡下に切除しえた大網捻転症の1例を経験したので報告する.症例は45歳女性で,5日前からの右下腹部痛を主訴に当院を受診した.来院時,右下腹部に手拳大の硬い腫瘤を触知し,同部位に著明な圧痛を認めた.腹部造影CT検査にて大網捻転症と診断し,同日,緊急腹腔鏡下手術を施行した.手術所見では,血性腹水を中等量認め,右下腹部の大網が反時計方向に4回転捻転し,末梢側の大網は壊死に陥っていた.大網壊死部分を切除した.術後経過は良好で,術後6日目に退院した.大網捻転症は比較的まれな疾患であり,術前診断は一般に困難であるとされている.本症例では,腹部造影CT検査にて術前診断が可能であり,腹腔鏡下手術が治療に有用であった. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.2415 |