虫垂原発低分化腺癌の1例

症例は65歳,男性.心窩部痛のため近医受診.大腸内視鏡検査にて虫垂入口部に隆起性病変を指摘され,生検にてGroup5.盲腸癌の診断にて当科紹介受診となる.当科の大腸内視鏡検査でも虫垂入口部に潰瘍を伴う隆起性病変を認め,生検結果は低分化腺癌であった.CTでは虫垂に腫瘍を認めた.虫垂原発低分化腺癌の診断となりD3郭清を伴う回盲部切除術を施行.病理組織診断は虫垂原発低分化腺癌se,n(-),H0,P0,M(-)でstage II.術後外来にてテガフール・ウラシルを投与し経過観察していたが,6カ月目にCA19-9が上昇し腹膜播種再発を認めた.FOLFOX4による化学療法を開始し術後1年目の現在も施行中...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1129 - 1133
Main Authors 守, 正浩, 森嶋, 友一, 鈴木, 一郎, 吉田, 行男, 小林, 純, 里見, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1129

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Summary:症例は65歳,男性.心窩部痛のため近医受診.大腸内視鏡検査にて虫垂入口部に隆起性病変を指摘され,生検にてGroup5.盲腸癌の診断にて当科紹介受診となる.当科の大腸内視鏡検査でも虫垂入口部に潰瘍を伴う隆起性病変を認め,生検結果は低分化腺癌であった.CTでは虫垂に腫瘍を認めた.虫垂原発低分化腺癌の診断となりD3郭清を伴う回盲部切除術を施行.病理組織診断は虫垂原発低分化腺癌se,n(-),H0,P0,M(-)でstage II.術後外来にてテガフール・ウラシルを投与し経過観察していたが,6カ月目にCA19-9が上昇し腹膜播種再発を認めた.FOLFOX4による化学療法を開始し術後1年目の現在も施行中である.虫垂原発低分化腺癌は極めて稀で術前診断も困難な場合が多い.本症例では大腸内視鏡検査にて虫垂入口部を慎重に精査し術前に確定診断が得られた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1129