肛門管に発生した表在性血管粘液腫の1例

症例は69歳,男性.胃癌術後の経過観察中に排便後の腫瘤の脱出を訴え受診となった.腫瘤は肉眼的に有茎性,淡灰色,胡桃大で弾性硬,分葉状であった.下部消化管内視鏡検査を施行したところ肛門管に基部がある長い茎を有するポリープ状腫瘤であった.還納は容易であったが,脱出が頻回であったため,経肛門的腫瘤摘出術を施行した.術後経過は良好で第7病日退院.術後1年が経過した現在まで再発はみられていない.摘出した腫瘤の病理組織検査および免疫組織学的検査の結果より,表在性血管粘液腫(superficial angiomyxoma)と診断した.表在性血管粘液腫のほとんどは体幹に発生するが本症例のように肛門管に発生する...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 1575 - 1578
Main Authors 平栗, 学, 金子, 源吾, 堀米, 直人, 前田, 知香, 秋田, 倫幸, 伊藤, 信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1575

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Summary:症例は69歳,男性.胃癌術後の経過観察中に排便後の腫瘤の脱出を訴え受診となった.腫瘤は肉眼的に有茎性,淡灰色,胡桃大で弾性硬,分葉状であった.下部消化管内視鏡検査を施行したところ肛門管に基部がある長い茎を有するポリープ状腫瘤であった.還納は容易であったが,脱出が頻回であったため,経肛門的腫瘤摘出術を施行した.術後経過は良好で第7病日退院.術後1年が経過した現在まで再発はみられていない.摘出した腫瘤の病理組織検査および免疫組織学的検査の結果より,表在性血管粘液腫(superficial angiomyxoma)と診断した.表在性血管粘液腫のほとんどは体幹に発生するが本症例のように肛門管に発生することは極めて稀である.治療は外科的切除であるが,不完全な切除による局所再発が多く,茎を含めて完全切除を行う必要がある.本症例では現在まで再発はみられていないが今後も注意深い経過観察を要する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1575