肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌の1例

肺多形癌は稀な肺癌であり,ときにgranulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)産生による白血球増多症や呼吸器感染症を合併することがある.今回我々は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.発熱と右上肺野腫瘤影で受診された.右肺上葉膿瘍+膿胸の診断で抗生剤投与が開始されたが,改善傾向を認めないために右上葉切除+リンパ節郭清を施行した.病理診断は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌であった.しかし術後3ヵ月で胸膜播種を認め,術後6ヵ月で肝転移による肝不全で死亡した.感染症と悪性疾患は胸腔内で共存す...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 458 - 463
Main Authors 井上, 健太郎, 島本, 亮, 鈴木, 仁之, 矢田, 真希, 近藤, 智昭, 庄村, 心
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.458

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Summary:肺多形癌は稀な肺癌であり,ときにgranulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)産生による白血球増多症や呼吸器感染症を合併することがある.今回我々は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.発熱と右上肺野腫瘤影で受診された.右肺上葉膿瘍+膿胸の診断で抗生剤投与が開始されたが,改善傾向を認めないために右上葉切除+リンパ節郭清を施行した.病理診断は肺膿瘍と膿胸を合併したG-CSF産生肺多形癌であった.しかし術後3ヵ月で胸膜播種を認め,術後6ヵ月で肝転移による肝不全で死亡した.感染症と悪性疾患は胸腔内で共存することを常に考慮に入れておくべきであると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.458