腫瘍破裂にて発症し全身化学療法後に切除した肝芽腫の1例
小児肝芽腫は稀な疾患であり,ときに腫瘍破裂にて発見される.今回,転倒にて腫瘍破裂し,ショック状態となったが,保存的加療にて止血が得られた症例を経験した.症例は1歳10カ月男児.ベランダで転倒し,腹部を打撲し,その後,腹痛,嘔吐を主訴に救急車にて近医に搬送された.来院時,ショック状態で,腹部超音波および造影CT検査にて肝腫瘍および腹腔内出血を認めたため,肝腫瘍破裂の診断で当科に転送された.来院後,挿管の上,輸液・輸血にてバイタルサインは安定し,造影CT検査では腫瘍破裂に伴う血腫の増大を認めず,保存的加療が可能と判断し,翌日抜管した.α fetoprotein(AFP)が325,770ng/mlと...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2102 - 2107 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
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Summary: | 小児肝芽腫は稀な疾患であり,ときに腫瘍破裂にて発見される.今回,転倒にて腫瘍破裂し,ショック状態となったが,保存的加療にて止血が得られた症例を経験した.症例は1歳10カ月男児.ベランダで転倒し,腹部を打撲し,その後,腹痛,嘔吐を主訴に救急車にて近医に搬送された.来院時,ショック状態で,腹部超音波および造影CT検査にて肝腫瘍および腹腔内出血を認めたため,肝腫瘍破裂の診断で当科に転送された.来院後,挿管の上,輸液・輸血にてバイタルサインは安定し,造影CT検査では腫瘍破裂に伴う血腫の増大を認めず,保存的加療が可能と判断し,翌日抜管した.α fetoprotein(AFP)が325,770ng/mlと著明な高値を示し,肝芽腫の診断のもと,小児科で化学療法(日本小児肝癌スタディグループ)を2コース施行した.腫瘍の縮小後,肝右葉切除術を施行した.小児科で術後補助化学療法を施行し,現在術後1年が経過したが,再発を認めていない. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.2102 |