大腸癌術後腹腔内血腫によるイレウスを契機に診断された血友病Aの1例

60歳,男性.心房細動などで当院通院中であった.貧血と便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行し,横行結腸癌と多発大腸ポリープを認めた.PT,APTT,出血時間は正常であった.まず内視鏡的ポリープ切除術を施行したが,術後出血にて内視鏡的止血術を要した.止血を確認後,横行結腸切除術を施行した.術後15日目に嘔吐し,腹部CTで腹腔内血腫と,その圧迫による大腸イレウスと診断した.イレウス管造影では,CT所見と同様に吻合部付近の狭窄を認めた.術後22日目のCTで血腫の縮小とイレウスの改善を認めた.その後の血液検査で,第VIII因子活性が50%と低下しており,血友病Aと診断された.臨床的に出血傾向を認めた場合...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 1343 - 1346
Main Authors 間瀬, 憲多朗, 丸森, 健司, 岡崎, 雅也, 今村, 史人, 神賀, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1343

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Summary:60歳,男性.心房細動などで当院通院中であった.貧血と便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行し,横行結腸癌と多発大腸ポリープを認めた.PT,APTT,出血時間は正常であった.まず内視鏡的ポリープ切除術を施行したが,術後出血にて内視鏡的止血術を要した.止血を確認後,横行結腸切除術を施行した.術後15日目に嘔吐し,腹部CTで腹腔内血腫と,その圧迫による大腸イレウスと診断した.イレウス管造影では,CT所見と同様に吻合部付近の狭窄を認めた.術後22日目のCTで血腫の縮小とイレウスの改善を認めた.その後の血液検査で,第VIII因子活性が50%と低下しており,血友病Aと診断された.臨床的に出血傾向を認めた場合,本症も念頭におくべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1343