男性副乳癌の1例

今回われわれは極めて稀な男性副乳癌の1症例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.2006年より右腋窩に母指頭大の腫瘤を自覚し,2008年初旬より増大傾向となった.同年9月に皮膚科を受診し,副乳癌が疑われ,当科に紹介された.CTでは右腋窩に内部が一部不均一に造影される5.5×3.5×4.0cmの腫瘍を認めた.FDG-PET/CTでも腫瘍のみに異常集積を認め,他部位からの悪性腫瘍のリンパ節・遠隔転移は否定的であった.生検ではER,PgR陽性の腺癌の像を認めた.手術は腋窩郭清を伴う腫瘤切除術を施行し,遺残なく切除可能で,周囲のリンパ節への転移は認めなかった.摘出標本では腫瘍周囲に固有乳腺と連続...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 6; pp. 1383 - 1387
Main Authors 柴田, 伸弘, 前原, 直樹, 頼田, 顕辞, 船ヶ山, まゆみ, 日高, 秀樹, 片岡, 寛章, 千々岩, 一男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:今回われわれは極めて稀な男性副乳癌の1症例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.2006年より右腋窩に母指頭大の腫瘤を自覚し,2008年初旬より増大傾向となった.同年9月に皮膚科を受診し,副乳癌が疑われ,当科に紹介された.CTでは右腋窩に内部が一部不均一に造影される5.5×3.5×4.0cmの腫瘍を認めた.FDG-PET/CTでも腫瘍のみに異常集積を認め,他部位からの悪性腫瘍のリンパ節・遠隔転移は否定的であった.生検ではER,PgR陽性の腺癌の像を認めた.手術は腋窩郭清を伴う腫瘤切除術を施行し,遺残なく切除可能で,周囲のリンパ節への転移は認めなかった.摘出標本では腫瘍周囲に固有乳腺と連続しない乳腺組織の存在を確認し,免疫組織化学染色ではER,PgR,gross cystic disease fluid protein-15(GCDFP-15)陽性,CK7,CK20,CEA,p63は陰性であり,副乳癌と診断した.術後補助療法としてTamoxifenを継続し,術後28カ月の現在,無再発生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.1383