DPC資料を用いた日本救急医学会専門医指定施設と指導医指定施設における緊急入院件数の検討

【目的】日本救急医学会専門医および指導医指定施設(以下指定施設)数は400をこえる。これら指定施設は本邦の救急医療において中心的な役割を担っていると考えられるが,入院を要する救急患者をどの程度受け入れているかは明らかでない。本研究の目的は指定施設や救命救急センターが受け入れた緊急入院件数を調査することである。【対象と方法】厚生労働省が公表した平成20年7月から6か月のDPCデータを用いた。DPC対象および準備病院(計1,559病院)のうち救命救急センターまたは指導医指定施設220病院を救命病院,専門医指定施設200病院を認定病院,その他1,139病院を一般病院と定義した。DPC入院件数のうち緊...

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Published in日本救急医学会雑誌 Vol. 22; no. 6; pp. 255 - 263
Main Authors 鈴木, 昌, 堀, 進悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本救急医学会 2011
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ISSN0915-924X
1883-3772
DOI10.3893/jjaam.22.255

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Summary:【目的】日本救急医学会専門医および指導医指定施設(以下指定施設)数は400をこえる。これら指定施設は本邦の救急医療において中心的な役割を担っていると考えられるが,入院を要する救急患者をどの程度受け入れているかは明らかでない。本研究の目的は指定施設や救命救急センターが受け入れた緊急入院件数を調査することである。【対象と方法】厚生労働省が公表した平成20年7月から6か月のDPCデータを用いた。DPC対象および準備病院(計1,559病院)のうち救命救急センターまたは指導医指定施設220病院を救命病院,専門医指定施設200病院を認定病院,その他1,139病院を一般病院と定義した。DPC入院件数のうち緊急入院件数と予定入院件数,および救急車搬送後に入院した(以下救急車入院)件数を病院群別に調査した。緊急入院の多い診断群(MDC)分類である神経系,呼吸器,循環器系,消化器系,および外傷・中毒の緊急入院件数も同様に調査した。【結果】入院件数の合計は420万件,緊急入院件数の合計は190万件,そして救急車入院件数の合計は50万件であった。このうち,救命病院はそれぞれの入院件数の30.3%,27.7%,32.1%を占め,認定病院は18.0%,17.5%,19.2%を占めた。MDC分類別の緊急入院件数では,救命病院は神経系疾患の29.4%,呼吸器系疾患の24.7%,循環器系疾患の31.3%,消化器系疾患の25.2%,そして外傷・中毒の28.9%を占めた。認定病院では18.0%,17.3%,18.2%,17.4%,17.1%であった。各病院において,緊急入院件数と救急車入院件数が占める割合(中央値)は救命病院が45%と13%,認定病院が49%と13%,そして一般病院が54%と10%であり,救命病院と認定病院では予定入院件数が一般病院より多かった。【結語】DPC対象となった緊急入院や救急車入院件数のほぼ半数は救命病院と認定病院が受け入れていた。
ISSN:0915-924X
1883-3772
DOI:10.3893/jjaam.22.255