CML治療中に発見された下部胆管癌の1手術例

患者は72歳, 男性. 白血球の異常高値から慢性骨髄性白血病 (CML) と診断され, 当院血液内科に紹介された. まずインターフェロンαなどでCMLの治療を開始したが, 肝障害および黄疸が出現し, 薬剤性肝障害を疑った. しかし, 腹部CTにて総胆管の拡張と下部胆管の腫瘍性狭窄を認め, ERCPによる胆汁細胞診で腺癌と診断された. 一般的に下部胆管癌の方がCMLよりも予後が悪く, CMLの病状も安定していたため, 膵頭十二指腸切除術 (PD-II) を施行した. 手術後の経過は, 白血球増加が長く続いた他には, 通常と変わらず良好であった. しかしながら, 術後3カ月で急速に増大する肝転移が...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 1786 - 1790
Main Authors 酒田, 和也, 伊豆蔵, 正明, 西嶌, 準一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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Summary:患者は72歳, 男性. 白血球の異常高値から慢性骨髄性白血病 (CML) と診断され, 当院血液内科に紹介された. まずインターフェロンαなどでCMLの治療を開始したが, 肝障害および黄疸が出現し, 薬剤性肝障害を疑った. しかし, 腹部CTにて総胆管の拡張と下部胆管の腫瘍性狭窄を認め, ERCPによる胆汁細胞診で腺癌と診断された. 一般的に下部胆管癌の方がCMLよりも予後が悪く, CMLの病状も安定していたため, 膵頭十二指腸切除術 (PD-II) を施行した. 手術後の経過は, 白血球増加が長く続いた他には, 通常と変わらず良好であった. しかしながら, 術後3カ月で急速に増大する肝転移が出現し, 術後6カ月で死亡した. なお, CMLに合併した胆管癌の手術例は, 検索した限り自験例の他には認めなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.1786