術前診断した食餌性イレウスの1例

患者は55歳,男性.虫垂炎の手術歴あり.齲歯あり.硬い猪肉等を咀嚼不十分で摂取した後に腹痛が出現し,翌日に増悪し当院救急搬送された.腹部に自発痛・圧痛を認めた.CTにて小腸内に高吸収値を示す板状物を認め,口側の小腸が拡張していた.食餌性イレウスの診断で入院となった.入院12時間後に再検したCTでも小腸拡張の改善を認めず,板状物も移動していなかったため,保存的改善は困難と考え手術を施行した.小腸に嵌頓した堅い板状の軟骨を含む多量の食物残渣が除去された.食餌性イレウスは,食事内容や食習慣などを含めた詳細な問診が必要であり,保存的治療が困難な場合も多いことを念頭に治療方針を決定することが重要と考えら...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2050 - 2055
Main Authors 松崎, 裕幸, 赤木, 大輔, 竹上, 智浩, 新海, 宏, 小林, 一博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:患者は55歳,男性.虫垂炎の手術歴あり.齲歯あり.硬い猪肉等を咀嚼不十分で摂取した後に腹痛が出現し,翌日に増悪し当院救急搬送された.腹部に自発痛・圧痛を認めた.CTにて小腸内に高吸収値を示す板状物を認め,口側の小腸が拡張していた.食餌性イレウスの診断で入院となった.入院12時間後に再検したCTでも小腸拡張の改善を認めず,板状物も移動していなかったため,保存的改善は困難と考え手術を施行した.小腸に嵌頓した堅い板状の軟骨を含む多量の食物残渣が除去された.食餌性イレウスは,食事内容や食習慣などを含めた詳細な問診が必要であり,保存的治療が困難な場合も多いことを念頭に治療方針を決定することが重要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2050