CA19-9上昇とFDG-PET高集積を認めた肺葉内肺分画症の一切除例

今回CA19-9上昇とPET/CTにおけるFDG高集積を認めた肺葉内肺分画症の一手術症例を経験した.症例は46歳女性.検診にて右下肺野の胸部異常陰影を指摘,CT上S7-10に楔状の充実性腫瘤影を認めた.血清CA19-9が64.1 U/mLと高値でPET/CTにて腫瘍に一致してSUVmax:4.3のFDG集積を認めたため肺癌疑いで精査加療目的に当科に紹介された.ダイナミックCTでは下行大動脈右側から肺靭帯経由で腫瘍に流入する異常動脈と,腫瘍から下肺静脈に潅流する異常静脈を認め,肺葉内肺分画症と診断した.胸腔鏡補助下右肺底区切除術を施行した.1ヵ月後の採血でCA19-9は12.7 U/mLと正常化...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 783 - 789
Main Authors 原田, 匡彦, 高橋, 祐介, 比島, 恒和, 佐原, 康太, 堀尾, 裕俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.783

Cover

More Information
Summary:今回CA19-9上昇とPET/CTにおけるFDG高集積を認めた肺葉内肺分画症の一手術症例を経験した.症例は46歳女性.検診にて右下肺野の胸部異常陰影を指摘,CT上S7-10に楔状の充実性腫瘤影を認めた.血清CA19-9が64.1 U/mLと高値でPET/CTにて腫瘍に一致してSUVmax:4.3のFDG集積を認めたため肺癌疑いで精査加療目的に当科に紹介された.ダイナミックCTでは下行大動脈右側から肺靭帯経由で腫瘍に流入する異常動脈と,腫瘍から下肺静脈に潅流する異常静脈を認め,肺葉内肺分画症と診断した.胸腔鏡補助下右肺底区切除術を施行した.1ヵ月後の採血でCA19-9は12.7 U/mLと正常化した.肺分画症はCA19-9などの腫瘍マーカー上昇やPET/CTでのFDG高集積を伴うことがある.本疾患を疑ったダイナミックCTは肺癌との鑑別に有用であり,安全な術式選択にも寄与するものと思われた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.783