腎細胞癌術後15年目に胃・多発性肺転移をきたした1例

症例は71歳,男性.既往歴に慢性関節リウマチ(22年前~),左腎細胞癌で腎摘(15年前).労作時の動悸を主訴に受診し,著明な貧血(Hb5.2g/dl)を認めたため,当院内科に紹介され入院した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に3型様腫瘤を認め,生検にてGroupV(淡明細胞癌様でpor)との診断であった.CT検査で胆嚢結石と両肺に多発性腫瘍を認めた.止血目的もあり幽門側胃切除・リンパ節郭清術,胆嚢摘出術を施行した.病理組織検査にて粘膜下層を中心に拡がった,clear cell carcinomaで,CK7およびCK20の免疫染色にてともに陰性であり,腎細胞癌の多発性肺転移を伴う胃転移と診断さ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 8; pp. 2556 - 2562
Main Authors 豊田, 剛, 吉田, 禎宏, 鷹村, 和人, 今冨, 亨亮, 斎藤, 恒雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は71歳,男性.既往歴に慢性関節リウマチ(22年前~),左腎細胞癌で腎摘(15年前).労作時の動悸を主訴に受診し,著明な貧血(Hb5.2g/dl)を認めたため,当院内科に紹介され入院した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に3型様腫瘤を認め,生検にてGroupV(淡明細胞癌様でpor)との診断であった.CT検査で胆嚢結石と両肺に多発性腫瘍を認めた.止血目的もあり幽門側胃切除・リンパ節郭清術,胆嚢摘出術を施行した.病理組織検査にて粘膜下層を中心に拡がった,clear cell carcinomaで,CK7およびCK20の免疫染色にてともに陰性であり,腎細胞癌の多発性肺転移を伴う胃転移と診断された.術後インターフェロンα,インターロイキン-2などの治療を行ったが効果無く,術後1年3カ月にて死亡した. 本症例は免疫抑制剤のタクロリムスを投与されており,多発性転移に関与した可能性は否定できない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2556