成人にみられた仙尾部奇形腫の1例
症例は26歳, 女性. 平成17年1月より肛門部痛が出現し, 2月に近医を受診したところ, 肛門左側に手拳大の巨大な嚢胞性腫瘤を認め, 穿刺にて毛髪を伴う皮脂様成分を認めて奇形腫が疑われ, 内容物の摘出・掻爬を行った. その後, 感染を併発し, 切開・排膿を行うも腫瘤の増大, 浸出液の持続的漏出がみられるため, 腫瘤の摘出目的に6月に当院紹介となった. 画像上, 直腸左側壁と左坐骨の間に嚢胞性病変を認め, 前医の所見から仙尾部奇形腫の術前診断で腫瘤摘出術を施行した. 病理組織学的所見では毛根などの外胚葉成分や平滑筋などの中胚葉成分を認め, 成熟嚢胞性奇形腫の診断であった. 術後1年9カ月の現在...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 1840 - 1843 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2007
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.68.1840 |
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Summary: | 症例は26歳, 女性. 平成17年1月より肛門部痛が出現し, 2月に近医を受診したところ, 肛門左側に手拳大の巨大な嚢胞性腫瘤を認め, 穿刺にて毛髪を伴う皮脂様成分を認めて奇形腫が疑われ, 内容物の摘出・掻爬を行った. その後, 感染を併発し, 切開・排膿を行うも腫瘤の増大, 浸出液の持続的漏出がみられるため, 腫瘤の摘出目的に6月に当院紹介となった. 画像上, 直腸左側壁と左坐骨の間に嚢胞性病変を認め, 前医の所見から仙尾部奇形腫の術前診断で腫瘤摘出術を施行した. 病理組織学的所見では毛根などの外胚葉成分や平滑筋などの中胚葉成分を認め, 成熟嚢胞性奇形腫の診断であった. 術後1年9カ月の現在, 再発は認めていない. 成人の仙尾部奇形腫はまれで本症に対する認識は低いが, 治療においては腫瘍の局在に応じた, 遺残のない完全な切除が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.68.1840 |