乳癌肺転移に対する手術症例の検討

1978年から2013年に当科で手術を行った乳癌肺転移63例を対象とし,予後因子について統計学的に検討した.単変量解析の結果,予後不良因子は,肺転移最大腫瘍型3 cm以上,ER(estrogen receptor)陰性,乳癌手術時病期StageIII/IV,無病生存期間DFI(desease free interval:乳癌原発巣手術から肺転移手術までの期間)24ヵ月未満,肺手術時の縦隔・肺門部リンパ節転移陽性であった.完全切除と非完全切除例では生存率に有意差は無く手術療法単独での治療的意義は乏しい.しかしホルモンレセプターの評価や診断のために確実に病変を採取することを目的とした手術は必要であ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 5; pp. 546 - 551
Main Authors 中島, 由貴, 秋山, 博彦, 井上, 卓哉, 浦本, 秀隆, 大和田, 有紀, 木下, 裕康, 鈴木, 弘行, 井上, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.546

Cover

More Information
Summary:1978年から2013年に当科で手術を行った乳癌肺転移63例を対象とし,予後因子について統計学的に検討した.単変量解析の結果,予後不良因子は,肺転移最大腫瘍型3 cm以上,ER(estrogen receptor)陰性,乳癌手術時病期StageIII/IV,無病生存期間DFI(desease free interval:乳癌原発巣手術から肺転移手術までの期間)24ヵ月未満,肺手術時の縦隔・肺門部リンパ節転移陽性であった.完全切除と非完全切除例では生存率に有意差は無く手術療法単独での治療的意義は乏しい.しかしホルモンレセプターの評価や診断のために確実に病変を採取することを目的とした手術は必要であると考えられた.予後因子として多変量解析で腫瘍径3 cm未満という結果が得られたが,肺病変完全切除後の他臓器への再発の可能性もあることを考慮すると,症例の選択に関しては今後さらなる検討が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.546