外傷性白線ヘルニア嵌頓の1例

症例は67歳,男性.2009年10月自転車で走行中に車と衝突.下腹部打撲にて当院へ救急搬送された.バイタルサインは安定しており腹部CTでも臓器損傷は認めず,腹部打撲と診断し自宅での安静を指示した.しかし2日後に腹痛,嘔吐にて再受診.臍下部正中に膨隆を認め,同部に著明な圧痛を訴えた.腹部CTで皮下組織内に小腸が脱出しており,さらに口側腸管の拡張を伴い,外傷性腹壁ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.手術所見では白線部において筋膜から腹膜まで断裂しており,嵌頓小腸は壊死していた.他の腹腔内臓器には損傷は認めず小腸切除を行い,ヘルニアの修復は直接縫合閉鎖を行った.術後に創部感染を生じたが経過は良好...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 2477 - 2480
Main Authors 近藤, 禎晃, 中室, 誠, 竹田, 幹, 前田, 庄平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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Summary:症例は67歳,男性.2009年10月自転車で走行中に車と衝突.下腹部打撲にて当院へ救急搬送された.バイタルサインは安定しており腹部CTでも臓器損傷は認めず,腹部打撲と診断し自宅での安静を指示した.しかし2日後に腹痛,嘔吐にて再受診.臍下部正中に膨隆を認め,同部に著明な圧痛を訴えた.腹部CTで皮下組織内に小腸が脱出しており,さらに口側腸管の拡張を伴い,外傷性腹壁ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.手術所見では白線部において筋膜から腹膜まで断裂しており,嵌頓小腸は壊死していた.他の腹腔内臓器には損傷は認めず小腸切除を行い,ヘルニアの修復は直接縫合閉鎖を行った.術後に創部感染を生じたが経過は良好であり,第39病日に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2477