膵頭部に発生した破骨細胞型退形成性膵管癌の1例

症例は64歳,女性.腹部不快感を主訴に来院.黄疸,肝機能障害,腫瘍マーカーの上昇CA19-9 119.34(正常<37)を認めた.内視鏡検査にて,十二指腸乳頭部に隆起性病変を認め,腹部超音波検査,CT,MRI検査では,下部胆管に32×23mmの腫瘤を認め,強く造影される腫瘤であった.約1カ月で腫瘍の増大傾向を認めたため,十二指腸乳頭部癌の疑いにて,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部から十二指腸乳頭部粘膜下に約50×30×20mm,割面が白色の硬い腫瘤を認めた.上皮性異型細胞と紡錘状細胞,破骨細胞様の多核巨細胞が認められ,anaplastic carcinomaと診断した.免疫組織化学的...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 1596 - 1602
Main Authors 長嶺, 義哲, 古波倉, 史子, 伊志嶺, 朝成, 伊佐, 勉, 小網, 博之, 亀山, 眞一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1596

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Summary:症例は64歳,女性.腹部不快感を主訴に来院.黄疸,肝機能障害,腫瘍マーカーの上昇CA19-9 119.34(正常<37)を認めた.内視鏡検査にて,十二指腸乳頭部に隆起性病変を認め,腹部超音波検査,CT,MRI検査では,下部胆管に32×23mmの腫瘤を認め,強く造影される腫瘤であった.約1カ月で腫瘍の増大傾向を認めたため,十二指腸乳頭部癌の疑いにて,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部から十二指腸乳頭部粘膜下に約50×30×20mm,割面が白色の硬い腫瘤を認めた.上皮性異型細胞と紡錘状細胞,破骨細胞様の多核巨細胞が認められ,anaplastic carcinomaと診断した.免疫組織化学的染色では,癌腫成分はkeratin陽性,肉腫様成分はvimentin,SMA陽性であった.術後経過は良好にて,術後36日目に退院となった.本症例は,肺炎,腎不全にて術後2年5カ月目に死亡した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1596