中縦隔胸腺囊胞の1切除例

症例は48歳,女性.左副甲状腺癌術前精査中に中縦隔腫瘍を指摘され,当科紹介.CTで気管右側に接して右鎖骨下動脈から右肺動脈本幹まで72 mmの腫瘤影を認めた.壁肥厚や充実成分は認めず,内部は均一な単房性で造影効果.FDG-PETで病変部集積.喉頭内視鏡で左声帯麻痺あり.囊胞性疾患を疑い,増大傾向を示すこと,悪性が否定できないことより手術の方針とした.腫瘍は奇静脈から上大静脈に沿って存在し,胸腺と連続する囊胞性病変として確認された.右反回神経麻痺を回避するために可及的切除にとどめた.囊胞壁は単相の立方上皮で裏打ちされ,構造異型や細胞異型は見られなかった.囊胞と連続する萎縮性の胸腺組織が散見される...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 243 - 247
Main Authors 福原, 光朗, 木下, 裕康, 飯島, 慶仁, 中島, 由貴, 鈴木, 弘行, 浦本, 秀隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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Summary:症例は48歳,女性.左副甲状腺癌術前精査中に中縦隔腫瘍を指摘され,当科紹介.CTで気管右側に接して右鎖骨下動脈から右肺動脈本幹まで72 mmの腫瘤影を認めた.壁肥厚や充実成分は認めず,内部は均一な単房性で造影効果.FDG-PETで病変部集積.喉頭内視鏡で左声帯麻痺あり.囊胞性疾患を疑い,増大傾向を示すこと,悪性が否定できないことより手術の方針とした.腫瘍は奇静脈から上大静脈に沿って存在し,胸腺と連続する囊胞性病変として確認された.右反回神経麻痺を回避するために可及的切除にとどめた.囊胞壁は単相の立方上皮で裏打ちされ,構造異型や細胞異型は見られなかった.囊胞と連続する萎縮性の胸腺組織が散見されることと免疫染色から胸腺囊胞と診断した.中縦隔発生の胸腺囊胞は報告例が少なく,異所性胸腺の関与が推察されているが,本症例では胸腺由来の囊胞が中縦隔に進展したと考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.243