成人小腸間膜リンパ管腫の1例

症例は48歳,女性.5年前より腹部超音波検査で骨盤腔内に4cm大の嚢胞性病変を指摘されていたが,卵巣嚢腫として経過観察されていた.今回,フォローアップの超音波検査で増大傾向を指摘され精査を施行した.超音波,CT,MRI検査では最大径約15cmの辺縁明瞭,内部均一な多房性嚢胞性病変を認めた.矢状断像で小腸間膜に連続する様子が明確となり,腸間膜由来の病変,特に小腸管膜リンパ管腫の診断を得て,手術を施行した.開腹所見では空腸間膜に乳白色の嚢胞性病変を認め,接する空腸の部分切除を含む嚢腫摘出術を施行した.内腔には乳白色の乳びが充満しており,また病理組織学的にも小腸間膜リンパ管腫の診断が得られた.成人小...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1213 - 1216
Main Authors 大高, 均, 松原, 健太郎, 北郷, 実, 鈴木, 文雄, 緒方, 謙太郎, 秋山, 芳伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1213

Cover

More Information
Summary:症例は48歳,女性.5年前より腹部超音波検査で骨盤腔内に4cm大の嚢胞性病変を指摘されていたが,卵巣嚢腫として経過観察されていた.今回,フォローアップの超音波検査で増大傾向を指摘され精査を施行した.超音波,CT,MRI検査では最大径約15cmの辺縁明瞭,内部均一な多房性嚢胞性病変を認めた.矢状断像で小腸間膜に連続する様子が明確となり,腸間膜由来の病変,特に小腸管膜リンパ管腫の診断を得て,手術を施行した.開腹所見では空腸間膜に乳白色の嚢胞性病変を認め,接する空腸の部分切除を含む嚢腫摘出術を施行した.内腔には乳白色の乳びが充満しており,また病理組織学的にも小腸間膜リンパ管腫の診断が得られた.成人小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患であり,本邦報告を含めた文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1213