傍下行結腸窩ヘルニアの1例

症例は80歳,女性.腹痛,嘔吐にて近医を受診し,イレウスを疑われ,当院に紹介となった.腹部CT検査にて小腸広範囲の拡張像と下行結腸を内側に偏位させる小腸の集簇像を認めた.内ヘルニアによるイレウスと診断しイレウス管を挿入したが,イレウスは改善せず入院翌々日手術となった.開腹所見では下行結腸外側に径約2.5cm大のヘルニア門が存在し,下行結腸の背側に小腸が嵌頓している状態であり,傍下行結腸窩ヘルニアと診断した.ヘルニア門を開放し,陥入腸管を還納したが,小腸は約20cmにわたり壊死し,小腸部分切除を施行した.ヘルニア門は閉鎖せず,ドレーンを留置し,閉腹した.内ヘルニアはさまざまなタイプが報告されてい...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 1524 - 1527
Main Authors 間瀬, 憲多朗, 丸森, 健司, 岡崎, 雅也, 福沢, 淳也, 今村, 史人, 神賀, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1524

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Summary:症例は80歳,女性.腹痛,嘔吐にて近医を受診し,イレウスを疑われ,当院に紹介となった.腹部CT検査にて小腸広範囲の拡張像と下行結腸を内側に偏位させる小腸の集簇像を認めた.内ヘルニアによるイレウスと診断しイレウス管を挿入したが,イレウスは改善せず入院翌々日手術となった.開腹所見では下行結腸外側に径約2.5cm大のヘルニア門が存在し,下行結腸の背側に小腸が嵌頓している状態であり,傍下行結腸窩ヘルニアと診断した.ヘルニア門を開放し,陥入腸管を還納したが,小腸は約20cmにわたり壊死し,小腸部分切除を施行した.ヘルニア門は閉鎖せず,ドレーンを留置し,閉腹した.内ヘルニアはさまざまなタイプが報告されているが,傍下結腸窩ヘルニアの報告は稀であり,本邦報告例は自験例を含めて3例である.今回われわれは,傍下行結腸窩ヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1524