感染を繰り返す左肺上葉気管支原性囊胞に対し,左肺上大区域切除を施行した1例

症例は33歳,女性.X-15年,検診を契機に左上大区肺野に気管支原性囊胞が指摘された.以後経過観察されていたが,X-5年,発熱や血痰を主訴に近医を受診し,囊胞内感染および肺炎と診断された.抗菌薬により一時改善したが,その後約3年間で4回の入院を必要とする囊胞内感染を繰り返したため手術の方針となった.画像的には炎症性腫瘤が左鎖骨下動脈,大動脈弓部,主肺動脈に広範に接しており癒着も否定できない所見であったため,開胸でインドシアニングリーンを用いた左肺上大区切除を施行した.肺野型気管支原性囊胞に感染を繰り返す症例では癒着の程度の評価が画像的には難しく,手術難易度が上昇し侵襲度の高い手術となる可能性が...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 553 - 558
Main Authors 小山, 力, 清水, 公裕, 三浦, 健太郎, 江口, 隆, 小林, 宣隆, 濱中, 一敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2021
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Summary:症例は33歳,女性.X-15年,検診を契機に左上大区肺野に気管支原性囊胞が指摘された.以後経過観察されていたが,X-5年,発熱や血痰を主訴に近医を受診し,囊胞内感染および肺炎と診断された.抗菌薬により一時改善したが,その後約3年間で4回の入院を必要とする囊胞内感染を繰り返したため手術の方針となった.画像的には炎症性腫瘤が左鎖骨下動脈,大動脈弓部,主肺動脈に広範に接しており癒着も否定できない所見であったため,開胸でインドシアニングリーンを用いた左肺上大区切除を施行した.肺野型気管支原性囊胞に感染を繰り返す症例では癒着の程度の評価が画像的には難しく,手術難易度が上昇し侵襲度の高い手術となる可能性がある.特に肺野型気管支原性囊胞は経過により有症状化する頻度が高いため,症例によっては発見時や無症状期に手術を検討することで手術の低侵襲化やリスク軽減につながる可能性がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.553