完全内臓逆位を伴った直腸癌に対し腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した1例

症例は53歳,男性.幼少時から完全内臓逆位症と診断されていた.肛門痛を主訴に近医を受診し大腸内視鏡にて直腸にI sp型ポリープを指摘された.内科にてEndoscopic Submucosal Dissection(以下,ESD)が施行され,深達度smの直腸癌,脈管侵襲陽性と病理診断された.このため追加手術目的で外科に紹介された.患者のQOLを重視し,より低侵襲である腹腔鏡下直腸前方切除術を計画した.術前シミュレーションとして,正常解剖例の腹腔鏡下直腸前方切除術の手術動画を左右反転で再生,視聴し,イメージトレーニングを行った.ポート,術者の立ち位置等は通常の逆の位置にした.手術は予定通り腹腔鏡下...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 1584 - 1588
Main Authors 岡, 保夫, 浦上, 淳, 奥村, 英雄, 松本, 英男, 山下, 和城, 平井, 敏弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1584

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Summary:症例は53歳,男性.幼少時から完全内臓逆位症と診断されていた.肛門痛を主訴に近医を受診し大腸内視鏡にて直腸にI sp型ポリープを指摘された.内科にてEndoscopic Submucosal Dissection(以下,ESD)が施行され,深達度smの直腸癌,脈管侵襲陽性と病理診断された.このため追加手術目的で外科に紹介された.患者のQOLを重視し,より低侵襲である腹腔鏡下直腸前方切除術を計画した.術前シミュレーションとして,正常解剖例の腹腔鏡下直腸前方切除術の手術動画を左右反転で再生,視聴し,イメージトレーニングを行った.ポート,術者の立ち位置等は通常の逆の位置にした.手術は予定通り腹腔鏡下直腸低位前方切除を行い,特に大きな問題もなく終了した.内臓逆位例でも術前のシミュレーションをし,慎重に解剖の同定を行えば腹腔鏡下手術も安全に施行できると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1584