急性膿胸を契機にSLEと診断した1例

症例は17歳男性.発熱と咳嗽を主訴に受診し,胸部単純X線写真で右肺炎と胸水を認め入院した.約1週間抗菌薬投与で加療されたが改善なく,当科を紹介された.著明な低蛋白血症と蛋白尿がみられ,ネフローゼ症候群の合併を疑った.造影CTで大量の胸水を認め,急性膿胸の所見であったが,同時に下大静脈血栓症も指摘された.ただちに下大静脈フィルター留置後,胸腔鏡下膿胸腔掻爬・ドレナージ術を行った.膿胸の治療と並行し腎病変の精査を行ったところ,尿蛋白32.5 g/日,抗Sm抗体陽性であった.さらに術後10日目に顔面に蝶形紅斑が出現し,以上経過と検査結果からSLEと診断した.腎臓内科で,ステロイド投与による加療が開始...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 222 - 227
Main Authors 魚本, 昌志, 蜂須賀, 康己, 藤岡, 真治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.222

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Summary:症例は17歳男性.発熱と咳嗽を主訴に受診し,胸部単純X線写真で右肺炎と胸水を認め入院した.約1週間抗菌薬投与で加療されたが改善なく,当科を紹介された.著明な低蛋白血症と蛋白尿がみられ,ネフローゼ症候群の合併を疑った.造影CTで大量の胸水を認め,急性膿胸の所見であったが,同時に下大静脈血栓症も指摘された.ただちに下大静脈フィルター留置後,胸腔鏡下膿胸腔掻爬・ドレナージ術を行った.膿胸の治療と並行し腎病変の精査を行ったところ,尿蛋白32.5 g/日,抗Sm抗体陽性であった.さらに術後10日目に顔面に蝶形紅斑が出現し,以上経過と検査結果からSLEと診断した.腎臓内科で,ステロイド投与による加療が開始され,SLEの諸症状が改善し,術後4ヵ月目に退院した.急性膿胸を契機に診断されたSLEの1例を経験した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.222