気管支鏡検査を契機に肺膿瘍を併発した肺悪性腫瘍手術の3例

気管支鏡による肺腫瘍生検後の肺膿瘍併発は稀な合併症であるが,治療に難渋する場合がある.今回我々は気管支鏡検査を契機に肺膿瘍を併発した肺悪性腫瘍手術症例3例を経験したので報告する.男性2例,女性1例で平均年齢は70.7歳.腫瘍は原発性肺癌2例,転移性肺腫瘍1例で,組織型は全例が腺癌であった.腫瘍の局在は右上葉1例,左上葉2例で,検査前のCTで腫瘍径は全例が30 mm以上であった.検査から発熱等の症状出現までは平均5日で,手術は肺膿瘍の診断後平均12日目に施行されたが,1例は抗菌薬が奏功したため待機的手術を行った.術式は葉切除が2例,肺全摘が1例であった.肺悪性腫瘍に続発する肺膿瘍の多くは,保存的...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 725 - 730
Main Authors 原, 英則, 松原, 寛知, 國光, 多望, 大貫, 雄一郎, 松岡, 弘泰, 宮内, 善広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.725

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Summary:気管支鏡による肺腫瘍生検後の肺膿瘍併発は稀な合併症であるが,治療に難渋する場合がある.今回我々は気管支鏡検査を契機に肺膿瘍を併発した肺悪性腫瘍手術症例3例を経験したので報告する.男性2例,女性1例で平均年齢は70.7歳.腫瘍は原発性肺癌2例,転移性肺腫瘍1例で,組織型は全例が腺癌であった.腫瘍の局在は右上葉1例,左上葉2例で,検査前のCTで腫瘍径は全例が30 mm以上であった.検査から発熱等の症状出現までは平均5日で,手術は肺膿瘍の診断後平均12日目に施行されたが,1例は抗菌薬が奏功したため待機的手術を行った.術式は葉切除が2例,肺全摘が1例であった.肺悪性腫瘍に続発する肺膿瘍の多くは,保存的治療に抵抗性で手術を必要とする.炎症が拡大すれば,手術は次第に腫瘍の根治性よりも感染制御に重点を置くこととなり合併症のリスクも高まるため,適切な手術のタイミングを逸さないことが重要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.725