透析患者に発症した特発性腸間膜血腫の1例

透析患者に発症した特発性腸間膜血腫の1例を経験したので報告する. 症例は40歳代の女性.30歳頃から慢性腎不全で血液透析を受けている.突然の下腹部痛で当院救急外来を受診した.腹部CTでS状結腸間膜内に血腫を疑う低吸収域を認めた.3時間後の腹部造影CTでは血腫と思われる低吸収域の増大,内部に造影剤の漏出を認め出血性腸間膜血腫を疑った.血管造影検査で明らかな血管外漏出像を認めなかったが貧血の進行を認めたため緊急手術を行った.術中所見でS状結腸間膜内に血腫を認め,血腫を形成している腸間膜,S状結腸を切除した.病理組織学的検査では栄養血管に明らかな動脈瘤,動静脈瘻等認めず,出血の原因は不明で特発性腸間...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 9; pp. 2860 - 2864
Main Authors 佐治, 重豊, 山本, 淳史, 伊藤, 由裕, 丸井, 努, 栃井, 航也, 堀田, 亮輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2860

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Summary:透析患者に発症した特発性腸間膜血腫の1例を経験したので報告する. 症例は40歳代の女性.30歳頃から慢性腎不全で血液透析を受けている.突然の下腹部痛で当院救急外来を受診した.腹部CTでS状結腸間膜内に血腫を疑う低吸収域を認めた.3時間後の腹部造影CTでは血腫と思われる低吸収域の増大,内部に造影剤の漏出を認め出血性腸間膜血腫を疑った.血管造影検査で明らかな血管外漏出像を認めなかったが貧血の進行を認めたため緊急手術を行った.術中所見でS状結腸間膜内に血腫を認め,血腫を形成している腸間膜,S状結腸を切除した.病理組織学的検査では栄養血管に明らかな動脈瘤,動静脈瘻等認めず,出血の原因は不明で特発性腸間膜血腫と診断した.術後経過良好で第28病日に退院,現在再発の徴候を認めていない. 特発性腸間膜血腫の本邦報告例は自験例を含め44例と稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2860