漏出性胆汁性腹膜炎の1例

症例は86歳, 女性. 臍周囲の疼痛を主訴に当院救急受診した. 触診上, 右季肋部から右下腹部にかけて著明な圧痛と筋性防御を認めた. 腹部単純X線上, 特に異常所見は認めなかったが, 腹部CT上, 胆嚢壁の肥厚と胆嚢周囲に腹水貯留を認めた. 腹部所見, 画像所見より急性胆嚢炎, 胆嚢穿孔疑いの診断下にて同日緊急手術を施行した. 開腹所見は, 腹腔内はモリソン窩を中心に胆汁貯留を認めたが, 肉眼的には胆嚢の穿孔は明らかではなく, 結石も認められなかった. 胆嚢摘出術と術中胆道造影を施行した. 病理検査では, 胆嚢壁は浮腫状で著明な鬱血を伴い, 漿膜側には好中球を主体とした炎症細胞の集簇と組織の壊...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 6; pp. 1573 - 1576
Main Authors 藤本, 将史, 酒井, 欣男, 有田, 淳, 望月, 功, 村野, 光和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は86歳, 女性. 臍周囲の疼痛を主訴に当院救急受診した. 触診上, 右季肋部から右下腹部にかけて著明な圧痛と筋性防御を認めた. 腹部単純X線上, 特に異常所見は認めなかったが, 腹部CT上, 胆嚢壁の肥厚と胆嚢周囲に腹水貯留を認めた. 腹部所見, 画像所見より急性胆嚢炎, 胆嚢穿孔疑いの診断下にて同日緊急手術を施行した. 開腹所見は, 腹腔内はモリソン窩を中心に胆汁貯留を認めたが, 肉眼的には胆嚢の穿孔は明らかではなく, 結石も認められなかった. 胆嚢摘出術と術中胆道造影を施行した. 病理検査では, 胆嚢壁は浮腫状で著明な鬱血を伴い, 漿膜側には好中球を主体とした炎症細胞の集簇と組織の壊死がみられたが, 穿孔部位ははっきりしなかった. 以上より非穿孔性の漏出性胆汁性腹膜炎と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.1573