気胸に対するドレナージで肺の再膨張後に発症した血胸の1例

症例は30歳,男性.前医にて緊張性気胸に対する胸腔ドレナージ後に血胸を呈し,医原性の血胸が疑われ当センターへ緊急搬送された.胸部X線写真にて右胸腔に大量胸水貯留を認め,ドレーンからの出血が続いていたため,血気胸の診断で胸腔鏡下緊急止血術を施行した.出血は肺尖部対側の胸壁の断裂した血管からであり,自然血気胸と診断した.術後,再膨張性肺水腫を発症したが,その後の経過は良好で,術後第7病日に軽快退院となった.自然血気胸の中には本例のように初回胸部X線写真で胸水貯留が認められない症例があり,早期の診断と治療のためには,ドレナージ後の注意深い経過観察が重要である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 1978 - 1981
Main Authors 川井, 廉之, 星, 永進, 高橋, 伸政, 池谷, 朋彦, 村井, 克己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:症例は30歳,男性.前医にて緊張性気胸に対する胸腔ドレナージ後に血胸を呈し,医原性の血胸が疑われ当センターへ緊急搬送された.胸部X線写真にて右胸腔に大量胸水貯留を認め,ドレーンからの出血が続いていたため,血気胸の診断で胸腔鏡下緊急止血術を施行した.出血は肺尖部対側の胸壁の断裂した血管からであり,自然血気胸と診断した.術後,再膨張性肺水腫を発症したが,その後の経過は良好で,術後第7病日に軽快退院となった.自然血気胸の中には本例のように初回胸部X線写真で胸水貯留が認められない症例があり,早期の診断と治療のためには,ドレナージ後の注意深い経過観察が重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.1978