A7+8+10が右主肺動脈から分岐した肺動脈分岐異常の1例

症例は70歳,男性.検診胸部異常影のため当科受診された.術前胸部CTでは右主肺動脈から分岐し,上肺静脈の背側,中葉気管支の腹側を走行しながら下葉に流入する肺動脈を確認できた.右肺下葉には3.5 cm大の充実性腫瘤を認めた.気管支鏡下生検にて右下葉肺腺癌(cT2aN0M0,stageIB)と診断され胸腔鏡下右下葉切除術(ND2a-1)を行った.術前CTで認められたA7+8+10は上肺静脈と中葉気管支の間を走行していた.術前に破格を把握していたため術中誤認切除をおこすことなく安全に手術を終了した.縦隔型肺底区動脈は非常に稀であり右側では本症例は本邦4例目である.術中損傷を予防するために稀な破格であ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 172 - 177
Main Authors 三好, 孝典, 住友, 弘幸, 日野, 直樹, 宇山, 攻, 山田, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.172

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Summary:症例は70歳,男性.検診胸部異常影のため当科受診された.術前胸部CTでは右主肺動脈から分岐し,上肺静脈の背側,中葉気管支の腹側を走行しながら下葉に流入する肺動脈を確認できた.右肺下葉には3.5 cm大の充実性腫瘤を認めた.気管支鏡下生検にて右下葉肺腺癌(cT2aN0M0,stageIB)と診断され胸腔鏡下右下葉切除術(ND2a-1)を行った.術前CTで認められたA7+8+10は上肺静脈と中葉気管支の間を走行していた.術前に破格を把握していたため術中誤認切除をおこすことなく安全に手術を終了した.縦隔型肺底区動脈は非常に稀であり右側では本症例は本邦4例目である.術中損傷を予防するために稀な破格であっても知識として蓄え,術前CTを詳細に読影,検討することが重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.172