腹腔内出血をきたし,緊急手術を施行したS状結腸癌卵巣転移の1例

42歳,女性.平成19年3月下旬から腹部膨満感が出現.婦人科に受診し,子宮筋腫,卵巣腫瘍が疑われたが,消化管の精査目的で4月上旬外科紹介受診.下部消化管内視鏡で,S状結腸癌もみつかった.4月末日,朝から激しい腹痛を訴え当院の救急外来を受診.緊急CT検査,腹腔穿刺で,腫瘍の破裂による腹腔内出血と診断され,同日緊急入院.入院後,貧血の進行はなかったが,腹痛は改善なく,両側胸水が出現し,腹水も増量した.徐々に状態が悪化したため,5月初旬,緊急手術を施行.開腹すると2Lの血性腹水と腹膜播種を認めた.両側卵巣摘出術,Hartmann手術を施行した.病理検索の結果,卵巣,播種結節ともにS状結腸癌からの転移...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 8; pp. 2048 - 2052
Main Authors 大平, 学, 宮内, 英聡, 首藤, 潔彦, 松原, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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Summary:42歳,女性.平成19年3月下旬から腹部膨満感が出現.婦人科に受診し,子宮筋腫,卵巣腫瘍が疑われたが,消化管の精査目的で4月上旬外科紹介受診.下部消化管内視鏡で,S状結腸癌もみつかった.4月末日,朝から激しい腹痛を訴え当院の救急外来を受診.緊急CT検査,腹腔穿刺で,腫瘍の破裂による腹腔内出血と診断され,同日緊急入院.入院後,貧血の進行はなかったが,腹痛は改善なく,両側胸水が出現し,腹水も増量した.徐々に状態が悪化したため,5月初旬,緊急手術を施行.開腹すると2Lの血性腹水と腹膜播種を認めた.両側卵巣摘出術,Hartmann手術を施行した.病理検索の結果,卵巣,播種結節ともにS状結腸癌からの転移と診断された. 大腸癌卵巣転移の報告は近年増加してきている.腹腔内出血をきたすことは稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2048