椎骨動脈再建を伴う遠位弓部大動脈合併切除を行った肺大細胞癌の一例

症例は51歳,男性.左上葉大細胞癌(弓部大動脈浸潤,鎖骨上窩リンパ節転移cT4N3M0,stage IIIB)の診断で同時併用化学放射線療法を4コース施行しPRが得られたが,その後原発巣の増大を認めサルベージ手術を施行した.術前検査で対側椎骨動脈の低形成が確認されたため,弓部大動脈合併切除に際し患側椎骨動脈を再建することとした.手術は前方アプローチで行い,TMA法にて鎖骨を授動して行った.肺は部分切除とし,Yグラフトを用いて上行大動脈から左総頸動脈,左腋窩動脈へバイパスを作製,椎骨動脈分岐部は腫瘍内で露出不可能であり,下半身の部分体外循環下に遠位弓部大動脈および椎骨動脈分岐部を腫瘍と一塊に摘出...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 431 - 436
Main Authors 椎名, 裕樹, 芳野, 充, 稲毛, 輝長, 関根, 康雄, 斎藤, 幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.431

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Summary:症例は51歳,男性.左上葉大細胞癌(弓部大動脈浸潤,鎖骨上窩リンパ節転移cT4N3M0,stage IIIB)の診断で同時併用化学放射線療法を4コース施行しPRが得られたが,その後原発巣の増大を認めサルベージ手術を施行した.術前検査で対側椎骨動脈の低形成が確認されたため,弓部大動脈合併切除に際し患側椎骨動脈を再建することとした.手術は前方アプローチで行い,TMA法にて鎖骨を授動して行った.肺は部分切除とし,Yグラフトを用いて上行大動脈から左総頸動脈,左腋窩動脈へバイパスを作製,椎骨動脈分岐部は腫瘍内で露出不可能であり,下半身の部分体外循環下に遠位弓部大動脈および椎骨動脈分岐部を腫瘍と一塊に摘出し,弓部大動脈再建後に椎骨動脈をYグラフト分枝に端側吻合した.術後経過は良好で軽快退院された.対側椎骨動脈低形成を伴う縦隔型肺癌に対し遠位弓部大動脈合併切除に加え椎骨動脈再建術を施行したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.431