急激な進行にて死に至ったS状結腸間膜脂肪肉腫の1例

症例は67歳,男性.左腹部の大きな腫瘤と腹部膨満にて来院した.CT上大腸イレウスとなっておりS状結腸と思われる部位に腫瘤を認めた.半年前のCTでは腫瘍は認めていなかった.内視鏡下で経肛門的にイレウス管を挿入した.内視鏡所見では大腸粘膜は比較的保たれており癌よりは悪性リンパ腫やGISTなどを疑う所見であった.手術も検討していたが急激に進行し入院後24日目に永眠された.剖検したところS状結腸間膜の肉腫が瀰漫性に播種を起こしていた.病理はmyxoid/round cell liposarcomaであった.脂肪肉腫は主に下肢に発生し腸間膜由来の脂肪肉腫は稀である.また粘液型の比較的予後のいい組織型であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1217 - 1221
Main Authors 浦川, 雅己, 池野, 龍雄, 宮本, 英雄, 名取, 恵子, 川口, 研二, 斎藤, 拓康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1217

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Summary:症例は67歳,男性.左腹部の大きな腫瘤と腹部膨満にて来院した.CT上大腸イレウスとなっておりS状結腸と思われる部位に腫瘤を認めた.半年前のCTでは腫瘍は認めていなかった.内視鏡下で経肛門的にイレウス管を挿入した.内視鏡所見では大腸粘膜は比較的保たれており癌よりは悪性リンパ腫やGISTなどを疑う所見であった.手術も検討していたが急激に進行し入院後24日目に永眠された.剖検したところS状結腸間膜の肉腫が瀰漫性に播種を起こしていた.病理はmyxoid/round cell liposarcomaであった.脂肪肉腫は主に下肢に発生し腸間膜由来の脂肪肉腫は稀である.また粘液型の比較的予後のいい組織型であったが腹膜播種,遠隔転移を起こし急激な進行を示した非常に稀な症例であったと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1217