右中葉低形成に発生した原発性肺癌の4例

【はじめに】肺低形成は新生児期における呼吸障害の原因となり得るが,肺葉に限局した低形成の場合,成人期に指摘され,悪性腫瘍を合併することがある.【症例】我々はこれまで4例の肺癌合併中葉低形成を経験した.男性3例,女性1例で,年齢はすべて60歳代であった.平均中葉容積率は全肺の0.24%と著明に縮小していた.肺癌組織型は,4例中3例が定型的カルチノイド,1例が小細胞肺癌であった.4例とも右中葉切除術を施行した.【考察】肺低形成の多くは,先天性臓器異常に続発する二次性であるが,今回の4例は合併異常を有さず,病変も中葉に限局していた.このため呼吸障害を発症することなく成人期まで経過したと考えられた.全...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 517 - 522
Main Authors 吉田, 久美子, 上田, 和弘, 村上, 順一, 田中, 俊樹, 岡部, 和倫, 濱野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2018
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Summary:【はじめに】肺低形成は新生児期における呼吸障害の原因となり得るが,肺葉に限局した低形成の場合,成人期に指摘され,悪性腫瘍を合併することがある.【症例】我々はこれまで4例の肺癌合併中葉低形成を経験した.男性3例,女性1例で,年齢はすべて60歳代であった.平均中葉容積率は全肺の0.24%と著明に縮小していた.肺癌組織型は,4例中3例が定型的カルチノイド,1例が小細胞肺癌であった.4例とも右中葉切除術を施行した.【考察】肺低形成の多くは,先天性臓器異常に続発する二次性であるが,今回の4例は合併異常を有さず,病変も中葉に限局していた.このため呼吸障害を発症することなく成人期まで経過したと考えられた.全例,神経内分泌腫瘍であったが,肺低形成と神経内分泌腫瘍との因果関係は不明である.【結語】右中葉低形成に肺癌を発症した4例を経験した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.517