左肝動脈による右肝動脈再建後に肝左葉切除術を行った胆管細胞癌の1例

症例は60歳,男性.胃癌に対して9カ月前に幽門側胃切除術,胆嚢摘出術を施行した.術後外来にてfollow up中,腹部CT上,肝左葉に直径1cm大の腫瘍と肝内胆管の拡張を認め,胃癌の肝転移もしくは胆管細胞癌の診断で,平成18年2月肝左葉切除術を予定した.開腹時,右肝動脈は胆嚢管処理部付近で瘢痕化して細くなり,拍動を認めず,胆嚢摘出の際の右肝動脈損傷が疑われた.左肝動脈をクランプすると,肝内の動脈血流がなくなるため,肝左葉切除を行うためには右肝動脈の再建が必要であった.結紮切除予定であった左肝動脈を遠位右肝動脈と大伏在静脈を間置して再建を行ったところ,肝内動脈血流は良好となったため,肝左葉切除術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 8; pp. 2093 - 2096
Main Authors 中山, 中, 畑谷, 芳功, 大野, 康成, 竹内, 信道, 辻本, 和雄, 伊藤, 憲雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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Summary:症例は60歳,男性.胃癌に対して9カ月前に幽門側胃切除術,胆嚢摘出術を施行した.術後外来にてfollow up中,腹部CT上,肝左葉に直径1cm大の腫瘍と肝内胆管の拡張を認め,胃癌の肝転移もしくは胆管細胞癌の診断で,平成18年2月肝左葉切除術を予定した.開腹時,右肝動脈は胆嚢管処理部付近で瘢痕化して細くなり,拍動を認めず,胆嚢摘出の際の右肝動脈損傷が疑われた.左肝動脈をクランプすると,肝内の動脈血流がなくなるため,肝左葉切除を行うためには右肝動脈の再建が必要であった.結紮切除予定であった左肝動脈を遠位右肝動脈と大伏在静脈を間置して再建を行ったところ,肝内動脈血流は良好となったため,肝左葉切除術を施行しえた.術後の経過は良好で,第13病日に退院した.病理診断は胆管細胞癌であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2093