食道癌根治的化学放射線療法後の再発に腹部リンパ節郭清術を施行した2例

食道癌に対する,根治的治療として化学放射線療法(definitive chemoradiotherapy:dCRT)が広く行われるようになった.そのため,遺残・再発に対するsalvage surgeryの機会が増えている.食道癌取扱い規約第10版には,salvage surgeryの中に,食道切除術だけでなく,リンパ節郭清術や内視鏡的治療も含まれている. 私達は,StageIVa食道癌に対し,dCRTを施行し,完全奏効となった後,腹部リンパ節再発をきたしたため,salvage surgeryとして腹部リンパ節郭清術を施行した症例を2例経験した.1例は,術後2.2年で癌死したが,もう一例は,術後...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 8; pp. 2016 - 2020
Main Authors 的野, 吾, 田中, 寿明, 永野, 剛志, 村田, 一貴, 白水, 和雄, 藤田, 博正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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Summary:食道癌に対する,根治的治療として化学放射線療法(definitive chemoradiotherapy:dCRT)が広く行われるようになった.そのため,遺残・再発に対するsalvage surgeryの機会が増えている.食道癌取扱い規約第10版には,salvage surgeryの中に,食道切除術だけでなく,リンパ節郭清術や内視鏡的治療も含まれている. 私達は,StageIVa食道癌に対し,dCRTを施行し,完全奏効となった後,腹部リンパ節再発をきたしたため,salvage surgeryとして腹部リンパ節郭清術を施行した症例を2例経験した.1例は,術後2.2年で癌死したが,もう一例は,術後2.8年無再発生存中である. Salvage surgeryとしての腹部リンパ節郭清術は,有用な治療のひとつと考えられる. 今後このような食道切除以外のsalvage surgeryの増加が予想される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2016